地域ブランド「菊間瓦」

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菊間町は愛媛県内の非食品産地産業の中では珍しく地域団体商標「菊間瓦」を取得している産地です。その歴史は古く750年の歴史があるそうですが、基本的に屋根瓦を製造しています。屋根を葺く瓦の種類は沢山あり、種類によって分業化が進んでいます。瓦屋根には大きく2種類あります。瓦屋根を眺めるとすぐにわかるのですが、小口(瓦の厚さが見える面)がへの字状になっているのが桟瓦(さんがわら)、二つの曲面の瓦を波状になっているのが本瓦(ほんがらわ)。桟瓦が作られ出したのは江戸時代後期からですから、それまでは本瓦しかありませんでした。本瓦をつかった本葺きの建築は仏閣建築、庄屋などなかなか瓦を葺いた家を建てることが出来なかった訳です。一般的に屋根瓦が普及したのは桟瓦が作られてからと言われています。

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菊間瓦は私が幼少時代(今から40年以上も前ですが)菊間瓦で家を建てるのはステイタス。お金持ちの家という印象が強かったのを覚えています。しかし、新建材の開発、在来工法の住宅からハウスメーカーの住宅市場と社会環境の激変によって今では菊間瓦の新築物件自体が少ないと言われています。需要の減少に伴い、工場も瓦を作る職人さんも少なくなっているようです。瓦はサイズや形状、仕上げの規格は厳しく、何百、何千枚と同じ瓦を求められますが、鬼師という鬼瓦専門で制作する職人さんがいます。先日、菊間瓦の数社を訪ねる機会があり、偶然、この作品と出会うことが出来ました。今も現役の鬼師の作品です。彫りの深さ、表情の豊かさ、画面のまとまり、素人目にも圧倒される作品です。瓦は見た目に高い場所に使われるため、鬼瓦の様な細かな仕事は割と仕上げも荒いものが多いのですが、この作品は鬼師が舐める様にピカピカ、ツルツルに仕上げてあります。

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これらの作品は値段も高くなるし、カタログ品の様に市場に出回る商品ではありませんが、菊間瓦の凄さを伝えるには十分過ぎる作品です。こんな凄い仕事が出来る菊間瓦をもっと沢山の人に知って欲しいですし、この技術の高さを現代の用の美にもきっと活用出来るはず。頑張って欲しいものです。

カテゴリー: 4-3.窯業   パーマリンク

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