車窓の秋空

IMG_0006一昨日は朝から四国中央市へ移動。毎月1回水引研究会の日。アドバイザーとして参加させていただいています。伊予水引金封協同組合の婦人部「美結会」の皆さんとの研究・開発。四国は紙の生産地が多く、特に四国中央市は「紙のまち」と言われる程の生産量をほこります。また、一口に紙といっても様々な製品があります。新聞紙、おむつやティーパック、レンジフードなどに使われる不織布、壁紙の原料、印刷物、手漉き和紙、紙糸、紙布、元結(もっとい)、水引と紙の原反から加工品まで様々な製品を作っています。

水引は主に金封と結納品の生産が中心で、全国でも長野県飯田市と二大産地として有名ですが、コンビニや百均ショップでも購入できる金封は大量生産による価格競争に巻込まれやすく、量産化が進み国外の生産に頼っています。結納は全て産地の技術を活かした手づくり品が多く伝統工芸士による高品質の商品です。しかし、儀礼の形骸化に伴い需要が激減し、価格も安価なものが多いのが現状です。伝統工芸士も高齢化が進み、高い技術が継承されるにはそれを市場はなかなか評価出来ていない情況です。

そんな産地が抱える課題に組合が向き合い、ホームページやネット販売など産地から直接消費者へ伊予の水引を訴求しはじめて久しいのですが、なかなか厳しい現状です。組合の婦人部「美結会」では10年以上も前から水引の美しさと結びの文化、日本の伝統を啓発する為に地元の小中高校を中心に体験を継続し、施設などへの出前ワークショップも行っています。今年はえひめイズムでも開催しました。組合や一部の事業者さんがボランティアでやってらっしゃるのですが、現在も継続しておこなっている素晴らしい活動です。そんな活動と水引を良く知らない市場。そんな現状を何とかしたいものです。

夕方まで四国中央市で研究会を行ったあと、高速道路に飛び乗り松山インターを素通りして宇和島へ。愛媛の東の端から西の端へと一気に移動します。夜はジャパンブランド「宇和島パールシーラバーズ」の会議。地元の真珠養殖、加工、販売の事業者さんとの打ち合わせです。地域と業種も全く違いますが、いずれも主幹産業とし長年地域を支えていた産地であり、優れた製品を全国に出荷していますが、同じ様な課題をそれぞれ抱えています。産官民が一緒になって課題に向き合う機会が増えましたが、誰かが考えてくれるだろう、何とかなるだろうという他力本願では何も生まれませんし、私が関わってどうなるものでもありません。全ては自分たちのために何とかしたい!という想いから始まるのだと思います。私も限られた知恵と時間しかありませんが、応援団の一人として寄り添って行きたいと思います。

宇和島を出たときには日付が変わっていました。道中サービスエリアで仮眠を取って事務所に帰るころには朝焼けが眩しい。車窓からほぼ24時間、秋空の移り変わりを楽しむことになりました。写真は東(四国中央市)から西(宇和島)へず〜っと伸びる筋雲です。

カテゴリー: 1.日々デザイン   パーマリンク

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