5年間おつきあいさせていただいてきた「りくう」の和紙。佐藤友佳理さんが引き継いでもうすぐ2年となりますが、特にこの2年間の和紙の進化は目をみはるものがあります。そのきっかけとなった「ゼオライト」です。インテリア空間を意識した大型作品に目が向いてしまいますが、実は繊維のミクロの世界が他の和紙との大きな違いなのです。
天から舞い降りた牡丹雪のようにはかない、触れると解けてしまいそうな楮の繊維は肉眼で見えるか見えないかくらい薄く漉かれています。それが2m強の和紙全面に同じテクスチャーを表現出来ていること、紙縒りの張り
方によって「いちまつ模様」「鱗模様」「菱形」などなど様々なパターンで楮を漉き込んでいます。
友佳理さんと企画したテーマの「識」とは日本人の持つ「結界」見えない「しきり」「識り」を意識したものですが、この紙縒り和紙に関しては「守・破・離」の離を考える時期になったのかも知れません。
様々な可能性を秘めた「和紙」、そして様々な和紙を使った「人」によってどんどん今から離れながらも原点を忘れない、ぶれない軸を持ってこれからもずっと、ずっと頑張って欲しいと思いますし、私自身も完成された「紙縒り和紙」に縛られることなく、和紙のすばらしさを伝えて行きたいと思います。
(写真モデル/佐藤友佳理)