西予市三瓶総合支所(旧三瓶町役場)前にある平成16年の市町村合併時の閉庁記念モニュメントは市民参加型による地元の子供達と大人によるワークショップによって制作しました。
当初アーティストに作品を依頼する案もありましたが、作家の恣意的な想い(作品)ではなく市民の記憶に残る「想いで」を地元の小学校、中学校、高校約900人の子供達が制作しました。むかしむかい三つの瓶が蜷貝によって砂浜に運び上げたことが三瓶の由来になったそうで、明治時代に奉納された絵馬にもその姿が残っています。想いでの形をこの絵馬で表現しました。
この海から丘までの背景は約1200枚の六画形モザイクタイルで敷き詰められ、地元の子供達が手作りで土をのばしそれぞれの想いでをスクラッチして描いてもらいました。7色のタイルは学校別に分けられ、自分が作ったタイルがどこにあるのか分かりやすくしています。
子供達のメッセージタイル作りは各学校へ出前ワークショップで行いました。そこで活躍してくださったのが地元のボランティアで支えてくださった大人の方達です。私たちと一緒に制作の手順を伝えタイルが割れないように大切に取り扱ってくださったおかげで1枚もやり直しをしないで子供達の想いでを完成させることが出来ました。
画像でお気づきの方がいらっしゃるかと思いますが、このメッセージタイルは砥部焼、永立寺窯さんに材料・制作技術指導・施釉・焼成をお願いしました。
三つの瓶は絵馬の素焼きの様な瓶をイメージして同窯の西岡秀典さんに制作して頂きました。西岡さんは昔潜水艦の設計をされていたそうで、砥部焼の窯元さんには珍しく図面を描いて確認させていただきました。瓶は「森」「海」「風」を小紋柄など昔ながらの絵柄でデザインされ、メッセージタイルと同様に刻まれています。この瓶はタイムカプセルとして式典時に地元の漁師さんによって「もやいむすび」で封印されました。
皆さんの想いでと共にモニュメントはずっと色褪せずに「三瓶」を未来へ伝えてくれるでしょう。