60年前の水引細工

IMG_0199先週、四国中央市の結納店で偶然60年前の水引細工を拝見する機会がありました。どれも結納飾りのパーツですが桐箱に入れて大切に保管してあったので色落ちもなく、ほとんどダメージを受けていないので60年前と言われなければ普通の方には判らないほどきれいな保存状態です。

私も水引はのあまり知識のない素人ですが、素人目にも結びと造形美がすごい。そして金、銀の水引以外は全て手漕ぎ水引で出来ています。随分前に同じ四国中央市で唯一手漕ぎ水引を作っていた職人さんの作業を拝見しましたが、紙を縒って芯をつくり天日で糊で紙縒りをしごくため機械で作っている現在の水引の様にへにゃへにゃとくせ毛(カール)になっていません。端部がピンとしています。そして大きな違いは色です。5本、7本と奇数で束にして結ばれた水引は白、緑、薄緑と繊細なグラデーションの色使いが美しいのですが、全て染めはオーダーだったそうです。金と銀の水引は現在は光沢のある薄いフィルムを巻いた巻き水引と言われますが、この水引はよく見ると金、銀の紙を職人さんが丁寧に巻いているのが判ります。

飾りに使われている和紙は檀紙という高級和紙を使っていました。福井県の越前和紙の門外不出の技法で作られたちりめん状にしわが入った檀紙ですが、現在は愛媛県西条市の国安にある周桑和紙で全国の80%が生産されています。ただ、60年前だと越前の和紙を使われている様です。檀紙現在は機械で生産されていますが、残念ながら本物とはまったく別物。60年経ってもちりめん状のしわがへたっていません。

IMG_0196江戸時代の元結い(もっとい)として使用された紙縒り、結納や金封、ポチ袋に使われている水引、日本の二大産地として長野県飯田市と四国中央市は有名です。特に四国中央市の水引細工は龍、松など美術工芸品のレベルの大作を作られており、その技術を持った職人さんは高齢化と後継者が少ない状況です。この60年前の水引細工は技術を後継者へ伝えるために大切に受け継がれたものですが、この貴重な財産は今後は後世に伝えることを考えないといけないと感じました。

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